ニキビ

【皮膚科専門医が解説】大人ニキビの原因と治し方

鏡の前で肌を気にする女性の様子
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はじめに

「10代の頃はニキビなんてなかったのに、なぜか30代・40代になって出てくるようになった」「あごや口の周りに繰り返しできるニキビが治らない」——こんなお悩み、本当によくいただきます。

大人のニキビ(ざ瘡)は思春期のニキビとは原因が異なり、単に「清潔にする」だけでは解決しません。ホルモンバランス、ストレス、乾燥、生活習慣、さらには間違ったスキンケアが絡み合って発症します。





大人ニキビの原因

大人ニキビの発症メカニズムには、以下のような要因が絡み合っています[1][2][3]。





ホルモンバランスの変動

月経周期に伴うホルモンの変動は大人ニキビの代表的な原因です。黄体期(おうたいき)(生理前の約2週間)にプロゲステロンが増加すると皮脂分泌が活発になり、ニキビができやすくなります。また、ストレスや睡眠不足でストレスホルモンであるコルチゾールが増えると、男性ホルモン(アンドロゲン)の分泌が促進され、皮脂量が増加します。

角質機能の低下

毛穴の出口の角質が厚くゴワゴワになる角化異常(かくかいじょう)が起こり、毛穴がふさがれることでニキビの初期段階である「面皰(めんぽう)=コメド」が形成されます。乾燥や摩擦、間違ったスキンケアが角化異常を引き起こすこともあります。

アクネ菌(C. acnes)の増殖

毛穴が詰まって酸素が減った環境で、アクネ菌(Cutibacterium acnes)が増殖し、炎症を引き起こします[4]。ただし、アクネ菌はもともと肌に住みついている常在菌なので、「殺菌すればいい」という単純な話ではありません。

生活習慣

睡眠不足、食事の偏り、便秘、運動不足なども間接的にニキビを悪化させます。[5]



ニキビの種類と進行

ニキビは進行度によって呼び方が変わります[1]。
早い段階(白ニキビ・黒ニキビ)で治療を始めるほど、跡を残さずきれいに治せます。

ニキビの種類と進行段階を示した解剖図
  • マイクロコメド(微小面皰):目に見えない毛穴の詰まり。
肉眼で見えにくい初期段階のマイクロコメド
  • 白ニキビ(閉鎖面皰):毛穴の出口がふさがり、中に皮脂が溜まった状態。
毛穴に皮脂が詰まった白ニキビの臨床所見
  • 黒ニキビ(開放面皰):毛穴の出口が開いて、皮脂が酸化して黒くくすんで見える状態。
皮脂が酸化して黒く見える黒ニキビ
  • 赤ニキビ:アクネ菌が増殖して炎症が起きた状態。赤く腫れて痛みがあることも。
炎症を起こして赤く腫れた赤ニキビ
  • 黄ニキビ(膿疱(のうほう)):炎症がさらに進み、ぷっくりと膿がたまった状態。
膿を持った重症型の黄ニキビ

    皮膚科での治療法

    大人ニキビの治療は、多くの治療が保険適用で受けられます[1][3]。

    外用薬(塗り薬)

    • アダパレン(ディフェリン®):ビタミンA誘導体で、毛穴の詰まりを改善する薬です。ニキビの根本原因である面皰(コメド)をできにくくする作用があり、日本皮膚科学会のガイドラインでも第一選択として推奨されています[1]。使い始めの2〜4週間は乾燥やヒリヒリ感が出ることがありますが、多くの方は徐々に慣れていきます。
    アダパレン外用薬ディフェリンゲル
    
    
    
    
    
    • 過酸化ベンゾイル(ベピオ®):アクネ菌に対する殺菌作用と、角質を剥がす作用を持つ薬です。抗菌薬と違い耐性菌ができにくいのが大きな利点です。
      ゲル、ローション、ウォッシュゲル(洗い流すタイプ)があり、体にも使えます。
    
    
    
    
    
    • アダパレン+過酸化ベンゾイル配合(エピデュオ®):上記2つの成分を1本にまとめた配合剤。効果が高く、塗る手間も1回で済むため使いやすいです。
    アダパレン・過酸化ベンゾイル配合のエピデュオゲル
    
    
    
    
    
    • 抗菌外用薬:クリンダマイシン(ダラシンT®)やナジフロキサシン(アクアチム®)、オゼノキサシン(ゼビアックス®)など。炎症性ニキビに短期間使用します。長期使用は耐性菌のリスクがあるため、単独での長期使用は推奨されません。

    内服薬(飲み薬)

    • 抗菌薬内服:中等症〜重症の炎症性ニキビに対して、ドキシサイクリン(ビブラマイシン®)、ミノサイクリン(ミノマイシン®)、ロキシスロマイシン(ルリッド®)などを短期間(通常3ヶ月以内)使用します。
    
    
    
    
    
    • 漢方薬:十味敗毒湯、荊芥連翹湯、桂枝茯苓丸加薏苡仁などが保険適用で使えます。体質に合わせた処方が可能で、ホルモンバランスの乱れに対するアプローチとして有用です。

    自費診療

    • ケミカルピーリング:グリコール酸やサリチル酸で古い角質を除去し、毛穴の詰まりを改善します。

    • レーザー等の美容機器:炎症後の赤みやニキビ跡に対して行います。


    日常でできるスキンケアと生活習慣

    洗顔のコツ

    洗顔は1日2回で十分です。洗いすぎは肌のバリアを壊して逆効果。泡で包み込むようにやさしく洗い、ぬるま湯で流しましょう。「さっぱり系」の洗顔料が好まれがちですが、大人ニキビの方は洗浄力が強すぎると乾燥→角化異常→毛穴詰まりの悪循環に入ることがあります。

    保湿は必要

    「ニキビ肌に保湿はいらない」と思っている方が多いのですが、大人ニキビの方こそ保湿が大切です。乾燥すると角質が厚くゴワゴワになり、毛穴が詰まりやすくなります。油分が少なく、ノンコメドジェニックテスト済みの製品を選ぶと安心です。

    メイクとの付き合い方

    ニキビを隠すためにコンシーラーを厚塗りすると、毛穴がさらに詰まることも。ノンコメドジェニックのファンデーションを薄く塗り、クレンジングは丁寧に。オイルクレンジングよりもジェルやミルクタイプの方が肌への負担が少ないです。

    食事のヒント

    血糖値を急上昇させる白い砂糖・白い小麦粉・菓子パンなどの高GI食品の摂りすぎは、インスリン様成長因子(IGF-1)を介して皮脂分泌を増やすことが報告されています[5]。また、牛乳やチーズなどの乳製品、最近美容や健康目的で摂取する人が増えているホエイプロテインは、ざ瘡の発症に大きく影響している可能性があります。[6][7]他の研究では、魚や健康的な油を含む食事からオメガ3脂肪酸やγ-リノレン酸を摂取することでニキビが改善する可能性が示されています。完璧を目指す必要はありませんが、意識するだけでもあなたのお肌が変わるかもしれませんよ。



    こんなときは皮膚科を受診しましょう

    • 市販薬やスキンケアを1ヶ月以上続けても改善しない
    • 赤く腫れた炎症ニキビが多い
    • 同じ場所に繰り返しできる
    • ニキビ跡(赤み・色素沈着・凹凸)が気になる
    • 20代後半〜40代で突然ニキビが増えた

    大人ニキビは市販薬だけで治そうとすると長引きがちです。皮膚科では保険適用の効果的な治療がたくさんありますので、早めに相談されることをおすすめします。

    
    
    
    
    

    まとめ

    大人ニキビは思春期のニキビとは原因も対策も異なります。ホルモン、ストレス、乾燥、角化異常——複数の要因が絡み合っているため、「清潔にすれば治る」「脂を取れば治る」という単純なアプローチでは解決しにくいのが特徴です。

    皮膚科ではアダパレンや過酸化ベンゾイルなど、保険適用で効果の高い治療薬が使えます。正しい治療を早く始めるほど、跡を残さずきれいに治せる可能性が高まります。ずぼらでもいいので、まずは皮膚科に一度相談してみてくださいね。



    参考文献

    1) 日本皮膚科学会. 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023.

    2) Zaenglein AL, Pathy AL, Schlosser BJ, et al. Guidelines of care for the management of acne vulgaris. J Am Acad Dermatol. 2016;74(5):945-973.

    3) Nast A, Dréno B, Bettoli V, et al. European evidence-based (S3) guideline for the treatment of acne. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2016;30 Suppl 8:1-28.

    4) Dréno B, Pécastaings S, Corvec S, et al. Cutibacterium acnes (Propionibacterium acnes) and acne vulgaris: a brief look at the latest updates. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2018;32 Suppl 2:5-14.

    5) Burris J, Rietkerk W, Woolf K. Acne: the role of medical nutrition therapy. J Acad Nutr Diet. 2013;113(3):416-430.

    6) Baldwin H, Tan J. Effects of Diet on Acne and Its Response to Treatment. Am J Clin Dermatol. 2021;22(1):55-65.

    7) Adebamowo, CA (2005-2). High school dietary dairy intake and teenage acne. JAAD. 52 (2): 207-14.

    ABOUT ME
    ゆう先生
    ゆう先生
    皮膚科専門医・アンチエイジング専門医・栄養療法ドクター
    肌年齢20代の40代皮膚科専門医が、15年以上の診療経験をもとに、医学的に正しいスキンケアや栄養の情報をわかりやすくお届けします。 ずぼらでも続けられる、肌と体の健康法を発信中。
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